怒りは二次感情
怒りは二次感情と言われます。
二次感情とは、ある感情（一次感情)が発生した後に発生する感情をいいます。
ある出来事に対して、はじめに一次感情例えば、悲しみや不安、心配、孤独感、憤慨、絶望というようなものが起こります。
その感情がいやされないので、次に怒りの感情が湧いてくるといわれます。
怒りは一次感情が報われない、満たされない場合に発生するというのです。
例えば、門限を過ぎた子供を案じる親は、やっと帰ってきた子供を怒ります。
子供を案じる、心配する感情が一次感情です。
子供が親の心（一次感情）を知らずのんきに夜遅く帰ってきたら、親は怒ります。
親は子供を案じ心配しているのに、親の気持ちが子供に通じていないことに腹を立てて怒りが起こります。
先ほど怒りの感情が起こる前に、最初に感じるネガティブな感情があるといいました。
悲しみ、虚しさ、苦しみ、不安、心配、寂しさ、憤慨、孤独…と言った否定的な意味を持つ感情です。
怒りの裏には報われない、自分の気持ちが踏みにじられたという思いがあります。
自分の感情を理解してくれない、報いてくれない相手に対して怒りが湧いてくるわけです。
相手に対して、傷ついた自分を理解して欲しい、自分の気持ちに報いて欲しいと訴えているということになります。
怒らないことはいいことなの？
怒ることはよくないことだという思いがある人が多いような気がします。
本当に怒らないのか、怒りを押えているのか…、でも、怒らない人間がいるのでしょうか。
例えば、彼氏に手作りのお料理を出したのに、まずいといわれゴミ箱に捨てられたという女性がいて、彼氏に怒らなかったといいます。
怒り自体が湧かなかったというのです。
怒りは二次感情ということからすると、怒らない人は一次感情が湧かない人ではないかと不思議に思いました。
相手から酷いことをされたり、言われても、怒りが湧いてこないということはどういうことなのでしょうか。
他人が精神的に傷つけようとするような酷い仕打ちをしてくることに対して、怒りが湧かないということになります。
プライドというものはないのでしょうか。
そもそも何の原因もなく人は怒りません。
先ほどの彼女の料理を捨てた彼を考えると、彼女は彼の価値観やプライドを傷つけることがあったのかもしれません
そうでなく、ただ「まずい」ということだけで捨てたとしたら、彼の人間性を疑ってしまいます。
推測になりますが、彼女の過去の言動が彼氏を怒らせその怒りがずっとあるとしたら、何かのきっかけで仕返ししたいと思っていたのかもしれません。
彼女の手作り料理を捨てるというひどい行為を彼女が怒らないということは、怒り自体を否定しているからかもしれません。
もしくは、彼女は彼が何で怒るのか理解できないのかもしれません。
怒ったことがないという人は、相手の怒りに対して何の感情も湧かないし、相手の感情を理解できないのではないでしょうか。
怒りは二次感情といいました。
怒らない人は、そもそも一次感情がないということになります。
一次感情がないということは、相手に求めるものがない、つまり私の気持ちをわかって欲しいというような共感や賛同を求める気持ちがないということになるのではないでしょうか。
他人に対して何も期待しないし、共感も持てない人といえそうです。
お互いの関係性を深めて理解し合う関係を作って行く相手として相応しい人とはいえないように見えます。
夫婦とか恋人、親子間では相手を理解する感情としてある程度の怒りというのは、必要なもののように感じます。
自分の感情をわかって欲しいから怒るのであり、相手の心ある反応を期待するわけです。
相手への期待、あるいは感情の共有を求めることは相手との関係性を深めるために必要なことではないでしょうか。
相手に期待しないということは深い関係性を築けないということになるのではないでしょうか。
そして、怒ったことがないというのは、相手の感情が理解できないということになる、つまり怒らない人は怒ったことがないから、怒る人の気持ちが理解できないのでしょう。
こちらが怒っているのに相手は冷静な態度で気持ちをわかってくれそうもないとわかると、こちらの怒りはますます大きくなります。
怒らない人は、相手が求めているものや、理解してもらいたいと思っていることを察することができないということになります。
関係性を深める怒りと話し合い
怒りを持つということは、相手にこちらをわかって欲しいという欲求があるから生ずるものであるといえるのではないでしょうか。
まったく怒りを持ったことがないという人は、相手にわかって欲しいという欲求がないし、相手の気持ちもわからないということになりそうです。
怒らないという人でも怒っているけど他人に怒りを見せない人であれば、他人の気持ちを察することは可能でしょう。
しかし、まったく怒りの感情が湧かない人がいたとしたら、相手の感情が理解できないということになります。
夫婦、恋人同士など関係性を深め合い、同じような価値観を共有することが期待される関係では、ある程度の怒りは必要なもののように感じます。
怒りの感情は、相手との感情の共有やお互いの意思をはっきりさせ尊重していくきっかけになるのではないでしょうか。
お読み頂きありがとうございました。
