セルフイメージが能力を決める
セルフイメージが自分の能力を決めているといいます。
セルフイメージは自分が自分のことをどう思っているかということです。
人は否定的なセルフイメージを持ちやすいといわれます。
例えば「私はテニスが下手だ」「私は運動神経がよくない」などというように。
小さなミスでも大きく考えてしまったり、一つの分野での失敗が全てのことに一般化されたりします。
「私はダメだ」「私はできない」と極端に自虐的な自己否定的なイメージが作られます。
ポジティブな自己イメージを持ったとしてもそれは長くは続かず、失敗してしまうと簡単に自己否定に変わってしまうといいます。
ガルウェイはテニスのプレーヤーを観察した結果、自分の中に二人の自分がいると考えました。
「しっかりやれ」「だめじゃないか」などと自分自身を批判し裁いている自分をセルフ1と名づけました。
そのセルフ1の命令によってプレーをする存在のセルフ2がいます。
セルフ1はセルフ2に命令を出し、セルフ2はその命令どおりに結果を出そうとプレーします。
セルフ1は意識している自分であり、いろんな価値観を持っています。自我ともいいます。
セルフ2は自分の肉体とその能力の実体であり、自然な学習能力を生まれつき持っている叡智そのものです。
セルフ2は無意識です。
無意識はイメージした通りの現実を作り出すのです。
セルフ1が示した通りの結果を実現します。
セルフ1が「私はダメだ」というセルフイメージをもっていたら、そういう現実を作り出していきます。
人間の能力は上達の可能性を持っています。
しかし、「私はダメだ」と思い込んでいるので、持っている能力を最大限に発揮することができなくなってしまいます。
セルフイメージを作っているのはセルフ1です。
例えば「できない」と自らに言い聞かせていると、能力を発揮する前から自ら能力の限界を規定しています。
その言葉の通りに頭の中に固定されて、その通りの行動を取り始めて、結果的にそうなることが多いのです。
「私は~だ」という言い方でセルフイメージが作られます。
このセルフイメージを表わす「私は~だ」という言葉は強力です。
「私は~だ」というセルフイメージは自分のイメージを固定し、自分を規定しています。
セルフイメージを変えるには
否定的な自己イメージを変えるためには、「演ずることをやってみなさい。」とガルウェイは言います。
テニスがうまいのは「プロ」なのですが、「プロ」を演ずるのではなく、「プロを演じる俳優」を演じなさいというのです。
プロを演じる俳優になったつもりでプレーするということです。
ミスをしないプロということではなく、プロであればこういう場合どう振舞うか、どういうメンタルを持っているか想像してそのプロになりきってみるわけです。
「下手くそな初心者」というセルフイメージそのものが自分の行動を小さな枠に押し込めて、制限してきたことが分かるはずだといいます。
「プロを演じる俳優」を演じると「下手くそな初心者」というイメージが消えたために、本来やりたいと思っていることがやれたというのです。
自己能力を規定しているセルフイメージを変えるには、イメージの上で作り上げている壁を壊すことだといいます。
それは「今、目前の」の対象に心を込めることだといいます。
今、目の前の一つ一つのことを意識を込めてやるということではないでしょうか。
批判やジャッジをせず、「今、ここの」ことに集中することが大事です。
なぜ自分の能力を制限するのか
「私はこれこれだ、だからこれしかできない。こうなるだろう」…こういうように考えて自分を決めてしまったほうが安心なのだといいます。
「何が起こるか分からない」という不安を抱えているよりも「自分はこれしかできない」と宣言した方が気持ちが楽なのでしょう。
しかし、セルフ1が自分の能力を決めてしまうことが、セルフ2が本来の実力を発揮する妨げになっています。
先ほどもいいましたが、セルフ2は無意識です。
セルフ2は肉体とその能力の実体であり、生まれつき持っている学習能力を持っている叡智です。
セルフ2の実力ははかり知ることができないといいます。
セルフ2の能力を規制し、枠に閉じ込めるのはセルフ1であり、すなわちあなた自身のエゴなのです。
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