ニューロ・ロジカル・レベルとは
ニューロ・ロジカル・レベルとは、NLPのロバート・ディルツ博士が体系化した人間の意識をレベル分けした理論です。
目標達成や問題解決、コミュニケーションに役立ちます。
上の図のように意識をピラミッド型に5段階に分けます。
ニューロ・ロジカル・レベルでは上位のレベルが下位のレベルに影響を与えます。
底辺部分から上部に上がって行くにつれて、意識レベルが人間のより深いレベルへと上昇していきます。
そして、①環境→②行動→③能力→④信念・価値観→⑤アイデンティティーとレベルが上がれば、人間はより深く重要な意識の部分に影響を受けると言われます。
図の下の部分から見ていくと、環境はその人がいる場所や働いている会社など、自分の周りの環境をいいます。
置かれている自分の環境を考えてみてください。
環境は自分に少なからず影響を与えているものです。
次に、行動はその人の行動や行為、反応を表します。
行動や行為は自分の感情や価値観が反映しているものです。
能力は、その人が持っているあらゆる面の能力をいいます。
自分の好きなことをやっているとその能力が磨かれたり、または、生まれつき持っており、苦もなくその人ができることです。
信念・価値観は、その人が信じていることや価値を置いているものごとをいいます。
過去から積み上げてきたその人の考え方や感情が元になっています。
アイデンティティーは、その人自身の在り方であり、自分自身をどう思っているかということです。
自分の中にある揺るがない自分に対する信念です。
先ほどの意識をピラミッド型に分けた三角形の図をみると、環境レベル、行動レベル、能力レベル、信念・価値観レベル、アイデンティティーレベルで人間がそれぞれの意識の段階で、ものごとをどう捉えるか違いがわかります。
例えば、「すてきだ」という言葉があります。
「すてきだ」と評価するものによって、私たちの意識の覚醒が違ってきます。
5段階の意識レベルで「すてきだ」という言葉をどう捉えるか見てみます。
① 環境レベル ‥‥‥‥‥ 環境レベルは自分のいる環境を捉える意識です。
自分以外の要因を表わし「いつ」「どこで」の言葉で表現できものを語っています。
五感を通して認識できる自分の周りのことをいっています。
環境が「すてきだ」と言われたとします。
「あなたのお家はすてきだ。」というように。
「あなたのお家はすてきだ。」と言われたら悪い気はしません。うれしいと思いますが、自分のことが評価されたとは感じません。
自分の外側のものが評価されたと感じます。
② 行動レベル ‥‥‥‥‥ 自分の行動や反応を表わします。
「なに」をするか、しないかを表現します。
行動や行為が評価されたとします。
「あなたの振る舞いはすてきだ。」とほめられたら、先ほどの環境レベルと違って、自分自身が評価されていると感じます。
動作や自分の目に見える自分の表面的な部分が評価されたと感じるでしょう。
③ 能力レベル ‥‥‥‥‥… 自分の能力やリソースを表わします。
能力レベルは「どのように」「どうやって」行うか、表現するか、反応するのか、他の人との違いが生じる意識の部分です。
「あなたはデザイン分野ですてきな能力がある。」と評価されたら、行動レベルよりも自分独自の大切なものが評価されたと感じるでしょう。
④ 信念・価値観レベル …… 自分が信じている価値観や思い込みの意識です。
「許可・制限・モチベーション」につながる意識です。
「なぜ」行動するのか、しないのかは、意思や価値観が決定します。
「あなたが信じている信念はすてきだ。」と言われたら、あなたが大切にしている価値観・信念が評価されたと感じます。
能力や行動が評価された時よりも、より認められたと思えるでしょう。
⑤ アイデンティテーレベル ‥…自分のミッションや使命を意識する層です。
アイデンティティー(自己認識)はセルフイメージです。
アデンティティーは「私は〇〇である」と表現されます。
「私は誰?」に答える意識といえます。
「 あなたはすてきだ。」と言われたらどうでしょう。
「あなたはすてきだ。」と評価されたら、あなたのすべてが評価されたといえます。
「能力」「信念・価値観」レベルを評価されたときは自分の大切なものが評価されたと思いましたが、でも、それは自分のすべてではありませんでした。
「あなたはすてきだ。」というのは、「あなた=すてきだ」であり、あなたのすべてがすてきだと評価されています。
これ以上の評価はないと感じるのではないでしょうか。
上位概念が下位概念に影響
アイデンティテーは「自己認識」といい、自分のことをどのように思っているかということです。
ニューロ・ロジカル・レベルのアイデンティティーレベルは、あなたの存在全体に関する評価です。
そのため、大きな影響を与えたり、受けたりすることになります。
先ほども書きましたが、「私は○○である」という形で表現されます。「私 = 〇〇」です。
例えば、自分のことを「私はしがない地方公務員である」と思っている人がいます。
そのアイデンティティーを「私は教師」であり、それはすなわち、「私は明るい未来を創る人たちを育てる未来請負人だ」と変えたらどうなるでしょうか。
同じ教師であるというアイデンティティーもミッションや使命を持って言い換えると、意識に与えるインパクトが違ってきます。
アイデンティテーは、自分自身に張り付けた「自己イメージ」です。
ニューロ・ロジカル・レベルでは上位の概念が下位の概念に影響を与えるため、アイデンティテーレベルに何があるかが重要になってきます。
積極的な自己イメージであるか、消極的な自己イメージであるかによって、自己が身を置く環境を作り出すことにもなります。
自分自身をどう思っているかで、例えば、劣悪な環境を我慢するのか、より良い環境を求めて移動しようとするのか、行動に移すか移さないかということにもつながります。
下位概念である環境レベルや行動レベルが批判されたときは、上位概念のアイデンティティーや信念・価値観レベルが批判された時よりもダメージは少ないといえます。
アイデンティティーレベルを否定すると深い意識が傷つきます。
例えば仕事上のミスを注意する際、行動レベルで注意をすることが大事になります。
仕事でミスをした部下がいたとしたら、ミスした行動を注意すればよく、アイデンティテーレベルを批判する必要もないわけです。
ミスをした側は、行動レベルで注意することを心がければよいことになります。
行動レベルで注意されれば、部下のモチベーションもさほど下がることはないでしょう。
「1分間マネジャー」に見る、効果的な部下への注意の仕方~行動を指導
このようにニューロ・ロジカル・レベルは、問題解決やコミュニケーションに役立つメソッドだといえます。
行き詰った状態で身動き取れない場合は、自分のアイデンティティーレベルを意識してみると違う展開が訪れるでしょう。
アイデンティティーがわからないという人がいるかもしれません。
アイデンティティーは自分が一番大切にしている意志・思いですから、自分自身に問いかけてください。
時間がかかるかもしれませんが、答えてくれます。
行き詰ったら、あなたのアイデンティティーを思い出してください。
お読み頂きありがとうございました。