「でも、だって、どうせ」を言う心理

「でも、だって」という言葉は、子どもの頃よく使っていた気がします。
時は過ぎ、自分の子をしかることがありました。
「でも、○○ちゃんが取ったんだよ!」「だって、ぼくは悪くない」と言い訳します。
それでもさとすと、「どうせ、ぼくは○○だから~」と開き直ったりします。
さすがに職場では、この三つの言葉はそう聞かないように思います。
いえ、同僚と話していると時々ありました。
「でも、そう言うけど、○○じゃダメなのよね」「だって、無理でしょう」「どうせ、私は〇○ですよ」…
「でも、だって、どうせ」の後には「できない」「無理」という否定的な言葉が続きます。
話にこの三つの言葉がよく出る人は、口ぐせになっているのかもしれません。
相手の言うことを聞きたくない、認めたくないという気持ちがネガティブワードを使わせるのでしょう。
「自分が正しいと認めさせたい」、「相手の言うなりにはならない」、「私の方が上」という意識があるように見えます。
劣等感が強いから、自分の正しさを主張するという態度に出るのかもしれません。

「でも、だって、どうせ」を使う人は、職場で「ダメな私」を演じている場合があります。
本人は気がついていないのかも知れません。
「私は何をやってもうまくできない」から「仕事のできない人」として、「でも、だって、どうせ」を口にします。
「できない私」としてい続けるので、周りの人に負担をかけることがあり、仕事がスムーズに進まないことがあります。
その人は「私に仕事をふると失敗するから、頼まない方がいいよ」と言っているようなものです。
「ダメな私」でいる限り、責任を取らなくてすむからです。
「私に頼まないで」「私にやらせないで」「能力の低い私をかわいそうに思って欲しい」という意識で、周りの同情を買いたいのです。
自分を低く見せてダメ人間を演ずることで、責任を回避します。
そうするとこのままでいられるし、成長する恐怖を体験しなくてもすむからです。
否定的な言葉の記憶
「でも、だって、どうせ」の否定的な言い訳の言葉が口ぐせになったのは、子ども時代の苦い経験が影響していると考えられます。
周りの親や大人たちに「お前にはできない」「あなたには無理」「あきらめなさい」…と言われ、それを信じて「できない私」を作り上げてきたということです。
やってみたけど失敗して、周りの人たちからバカにされ笑われた経験があったかもしれません。
無意識の中に「私は価値がない」という信念をもってしまったのです。
否定やジャッジを見直す

「でも、だって、どうせ」のネガティブワードを使っていると、否定的な現象が起こります。
人間は投げかけたものが返ってくるといわれます。
相手の意見を否定することは相手を否定することであり、自分も否定することにつながります。
否定的な言葉は自分の耳から脳に入っていき、自分も否定するようになります。
自分を低める否定的な言葉を使っていると、幸せにはなりません。
なりたい自分があったり、したいことがあるなら、自分も他人も否定しないことです。
肯定するのです。
そのためには、ネガティブワードをやめてみます。
そもそも相手の意見を否定することは、自分の考えや信念と違うからです。
しかし、信念は人それぞれですから、他人と自分と意見が違うというだけで相手を否定することは幼稚に見えます。
他人の意見や信念はその人独自のものであり、自分とは違っていてもそれはそれであり、と受け止めることがいいのではないでしょうか。
相手を否定する必要はなく、意見は違ってもあなたはあなたでいいと思えば、相手を否定する感情は起こりません。
自己イメージをアップデートさせる

口ぐせはいつも考えている言葉であり、頭の中に常にあるものです。
人は一日6万回ものセルフトークをするといわれています。
頭の中にネガティブな言葉があるので、ずっとそれを考え続けています。
人間は考えていることが現実になるといいます。
常に否定的な言葉でネガティブなことを考えていると現実もそうなります。
否定的な思い込みは、すぐには変えられないかもしれません。
でも、少しずつ意識していけば口ぐせを変えることができます。
「でも、だって、どうせ」と言いそうになったら、相手の意見をいったん受け止める、そして「そういうこともあるかもしれないね」と返したらどうでしょう。
否定したくなったら、立ち止まって考えるように練習するのです。
どうしても、賛成できないと思ったとしても「そういうのもあるんだね。それに、私はこう考えるんだよね」と自分の意見を言う、そうするとマイルドな会話になりそうです。
以前のように否定しないで相手の意見を聞くことができるようになったら、意識がアップデートしたということです。
ポジティブな体験を思い出す

「でも、だって、どうせ」の言葉は、否定的な思い込みから来るものです。
否定的な思いが浮かばないようにレッスンしていくのはどうでしょうか。
過去のうまくいったこと、うれしかったこと、感謝したことを思い出すのです。
ものごとは全部ダメ、全部正しいということはありません。
出来事は多面的であるということを思い出したら、否定することばかりではなく、肯定する面が必ずあるということです。
過去すべてが嫌なことばかりではなかったでしょう。
今のあなたは、過去の積み重ねの結果なのです。
あなたの全部の経験に感謝してみてはいかがでしょうか。
よい記憶だけではなく、嫌な記憶もすべて役に立つものであると捉えるようにしたらどうでしょう。
過去すべてに感謝したら、あなたを肯定することになります。
よい思い出は楽しく、うれしいことだったでしょう。
人はよいことも悪いことも経験します。
嫌な思い出を否定するのではなく、嫌なことは、あなたを成長させてきた出来事でもあります。
「でも、だって、どうせ」という言葉を使わず、いったん受け止めてみる姿勢に変えてみます。
肯定的な言葉は肯定的な意識を生みます。
まずは「でも、だって、どうせ」を封印してみたらどうでしょうか。
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