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「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー著より
第五の習慣「理解してから理解される」に、感情移入によるコミュニケーションが書かれています。
私たちは言葉を使ってコミュニケーションします。
言葉だけ、話術だけでは相手を理解するには不十分であるといいます。
私たちは相手の話を聞く場合、自分の「眼鏡」をかけて相手の話を分析し、批評し、助言しようとします。
「眼鏡」は、人それぞれが持つ経験に基づく信念や観念です。
相手の話を聞く場合は、言葉だけでは不十分であり、自分の「眼鏡」をはずして聞かないと真に相手を理解できないといいます。
真に相手を理解するためのコミュニケーションが感情移入のコミュニケーションだといいます。
感情移入のコミュニケーションはスキルですから、練習すれば上手になれるものです。
スキルの段階が4つあり、1から4段階をみていくことにします。
第1段階 おうむ返し
話の中身を繰り返す、いわゆるオウム返しです。
相手の言葉を聞いてそれを繰り返します。
相手の話を聞いていなければ、オウム返しもできないので、相手の話に集中をするという段階です。
しっかり相手の話を聞く準備ができたといえます。
子ども「学校が嫌なんだ」
親「学校が嫌なんだね」
第一段階では、相手の言ったことを正しいか間違っているかというように評価しないことが大切です。
話しているのに、途中で「それは考え違いをしている」と独断で話を斬っては、相手が心を閉ざし話すのをやめてしまうかもしれません。
また「そういう考えではうまくいかない、こうしたら」と早急にアドバイスをしてもいけないといいます。
相手はまだ話を終わっていないし、充分思っていることを言えたという状態ではないので、まだ相手の話をよく聞かなければなりません。
第2段階 自分の言葉に置き換える
第2段階では、話の内容を自分の言葉で言い換えてみます。
相手の言うことを理解するにはもっと話を聞かなくてはなりません。
子ども「学校が嫌なんだ」
親「行きたくないんだね」
「嫌だ」→「行きたくない」と相手の言葉を自分の言葉に置き換えています。
いったん相手の言葉を自分の中に入れ、咀嚼して外に出した言葉なので、自分の言葉になっています。
自分の言葉にすることは、相手の言葉の表面上をただなぞっただけではないので、第1段階より相手の心に入っていったといえるでしょう。
相手の話した内容を分析して論理的に考えています。
第3段階 相手の感情を想像する
自分の言葉に置き換えたら、相手の感情を想像してみます。
右脳を使い、相手が今どう感じているのかをイメージします。
自分の記憶から、相手と同じ出来事を経験した時を思い出すと、相手の感情が連想されるでしょう。
子ども「学校が嫌だ」
親「なんだかイライラしているようだね」
相手がどんな感情を持っているのかということを言葉にしてみます。
第3段階では、相手の感情に意識を向けます。
第4段階 自分の言葉で表現し感情を反映する
最後は、第2段階と第3段階の両方を合わせることになります。
相手の話の内容を自分の言葉で置き換え、相手の感情も表わすような言葉を使います。
子ども「学校が嫌だ」
親「学校に行きたくなくて、なんだかイライラしているようだね」
第4段階では、左脳で論理的に分析し右脳で感情を想像して、相手の話を思考と感情で理解しようとしています。
誠意を持って、思考と感情をフル活動して相手に向かうことになります。
話し手は、話したことをあなた独自の言葉で「翻訳」してくれたと思うでしょう。
相手は、あなたの姿勢から理解しようとしてくれることを感じて、本音を言ってもいいと思ってくれるかもしれません。
さらに、相手はあなたの質問により、自分が気がつかなかったことに気づくということが起こるでしょう。
あなたは信頼しても良い人物だと思われるのです。
あなたが相手の話を誠意を持って聞く場合、内容を深く考えることにより自分自身の言葉に直して、相手に返すことができます。
また、思いやりを思って聞くことにより、相手の感情を想像することができます。
そうすることで、相手の話を理論的に整理し、かつ感情を理解することができます。
相手は、あなたの真摯な聴く姿勢を見て、自分は理解されて認められているという感謝が起こり、もっと深く理解してもらいたいと思うようになります。
自分の「眼鏡」をはずし、相手の立場になって世界を見ないと相手の問題を理解することができません。
あなたから深く理解されていることを感じたら、あなたと相手はより信頼関係を増すことができます。
そもそも信頼関係がなければコミュニケーションは成り立たないわけです。
より深い信頼関係を作るには、理論的に話を理解するだけでなく、相手を思いやり相手の感情も理解する必要があるのです。
相手と深くつながるコミュニケーション~「7つの習慣」にみる感情移入の傾聴
お読み頂きありがとうございました。