新人教育につまずいた先輩社員

職場で新人や後輩ができたら、今まで教わる立場だった人が教える立場に変わることがあります。
新人や後輩に仕事を教えたのに、相手が覚えてくれない、教えた通りにできないということが起ります。
「何でできないんだ!」と心の中でどなり、新人にイライラすることがあります。
実際「やる気があるの?!」ときつい言い方をしてしまったこともありました。
こちらはちゃんと教えているのに、覚えない、出来ない新人が悪いと思ってしまい、相手を責めてしまいます。
そもそも職場で仕事を新人や後輩に教えるのは、相手に仕事ができるようになって欲しいからです。
いうならば、仕事のやり方を教えるのは、私の思考や行動パターンを真似てもらって、私と同じ人になってもらいたいからです。
人はそれぞれですし能力は同じようでも性格が違い、飲み込みの早い人とそうでない人がいます。
当然ながら、教える側が教え方を工夫しなければうまくいかないことが多いでしょう。
教える側はただ知っていることを一方的に言うだけでは、相手ができるようになるとは言い切れません。
さらに、相手に言っていることが受け入れられているかどうか、相手の様子を見ながら教えるのが必要です。
難しいことですが、できない相手に対してこちらが感情的にならずに、柔軟な思考と態度を持たなくてはなりません。
相手の表情や行動を見ながら、時には相手の感情を理解することも必要になります。
教えるコミュニケーション

教えているのに相手が理解できなかったり行動できない場合は、ミスコミュニケーションということになります。
教える側、教わる側、お互いが上手くコミュニケーションが取れていないから、意思の交流ができないわけです。
教えるコミュニケーションの成果は、自分が意図した効果が相手に現れることです。
山本五十六の名言に「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」とあります。
昔の偉人も人に教えることの難しさを痛感していたんだなと思います。
私が新人の指導をうまくできなくてもそう落ち込まなくてもいいのかな、と親近感が持てる言葉です。
そもそも相手がまったく経験のないことを伝えることは、難しいことなんだと考えたほうがいいようです。
新人ができるようになってもらいたいのですから、まずは相手のペースに合わせて教えていくことが大事だといえます。
コミュニケーションの基本は、相手とのラポール(信頼関係)を築くことです。
信頼関係を築いて相手に心を開いてもらわないと、こちらの言葉を受け取ってもらうことができないからです。
一般的にこちらは上司、先輩だから、新人や後輩が合わせるべきと思いがちです。
しかし、新人も合わせたくてもどうあわせていいのかわからない時もあるようです。
新人は聞いていて理解できるところもあればそうでないところもあるようで、先輩の教えるペースに合わせている場合があります。
先輩の顔色を伺いながらついていっているので、質問していいのか躊躇していることがあるようです。
対して、教える側は何度も言っているのに、できないからイライラしています。
なので先ほどのように、感情的になり言葉が荒くなります。
そうすると新人はますます萎縮して何もできなくなってしまうという負のスパイラルに陥ります。
ですから、感情的にならずに冷静に教えないと、相手は余計にかたくなり自分を守ろうとしますし、こちらの言葉がますます耳に入らなくなります。
教える側に立つことは、その新人や後輩との信頼関係ができる始まりともいえます。
職場での人間関係がスタートする時点で、後々良好な関係を作るためには、慎重に友好的に教えるコミュニケーションがよいです。
相手がやったことのないものを教えてできるようにすることは、簡単ではありません。
先ほどもいいましたが、山本五十六の言葉通り「説明して、やってみせて、相手にやらせる」ことが基本ではないでしょうか。
すぐにはできないでしょうから、何度も繰り返し教え、何度もやらせてみるわけです。
ただ手順を教えるのではなく、どうしてそうしなければならないか、理由を教えてからやらせると理解が深まることもあるでしょう。
新人・後輩へ仕事の教え方に使える言葉

新人や後輩にやらせたらフィードバックします。
できたら、ほめるのです。
「えー、子供じゃないんだからほめなくてもいいでしょう」と言われそうですが…。
人は、他人からほめられるとうれしいものです。
心理的距離が縮まります。
人間の心理として正しいことを言われても、言う人によって素直に聞けない場合があります。
自分が信頼している人から言われたら、素直に聞けます。
しかし、嫌いな人から言われたら理解できるけど、素直に従えない場合があります。
人は理性ではなく感情で動くものです。
相手の気持ちを感じながら、教えることが効果的なコミュニケーションといえます。
一般的に怒られてやる気が出るという人は少ないでしょう。
ほとんどの人は、ほめられるとやる気がでるのでは。
ですから、積極的にほめてみるのです。
出来が悪くても、その中でいいところを見つけてほめるのです。
たとえば、
「毎日、真剣に取り組んでくれてありがとう」
「君には僕も上司も期待しているんだよ」
「君にはのびしろがある」etc
声を掛けてほめて、励ますことは大切です。
ポジティブな言葉をかけ、相手のやる気を刺激するのです。
ポジティブな言葉の中でも、「ありがとう」は効果的です。
できない相手に、なぜ「ありがとう」というんだ?と思われるかもしれません。
でも、「ありがとう」の言葉を発すると、相手の心に響きます。
教わる側のペースに合わせる

教える側には忍耐が必要です。
人は誰でも、自分のペースでやりたいものです。
せっつかれたり、せかされたりするとあせって自分のやることに集中できなくなります。
ですから、教える側のペースではなく、教わる相手のペースを尊重することは大事なことです。
人間は、インプットしているものをアウトプットすると理解度が深まるといいます。
教えることは教える側にもメリットがあります。
他人に自分の知識・ノウハウを伝えることで、自分の頭の中が整理されたり再構築されたりします。
教えて習得してもらうことは、相手の頭の中に自分の思考法を入れることです。
「自分のアプリ」を入れてもらうことと同じだといえるのではないでしょうか。
しかし、PCやスマホみたいに人間の脳は簡単にはいきません。
相手は感情がある人間ですから、相手の状態を見ながらやっていくことが必要です。
相手ができないとか難しいという思いになって、不安やあせりに陥らないように持っていかなければなりません。
詰め込み過ぎて余裕がなくなると、受け入れられるものも受け入れられなくなります。
穏やかな広い心を持ってコミュニケーションをやってみることで得たい結果が得られるのではないでしょうか。
目標は新人や後輩が仕事ができるようになるということですから、その目的を達成するためには、やり方に固執することなく柔軟にやり方を変えることも必要です。
イソップ物語の「太陽と北風」と同じく…。
今まで「北風」だったら180度やり方を変えて「太陽」になってみるという柔軟性が求められます。
信頼関係がないと相手は心を開きません。
教えるコミュニケーションの成果は相手に自分の言葉を受け取ってもらうことです。
すなわち、こちらの意図する考えを受け入れてもらい行動してもらうことです。
心を開いた相手の言葉は、その人の中に入っていきます。
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