ネガティブな思考とあなたを切り離す
仕事でミスをして上司に怒られたら、凹んで落ち込み「自分はダメだな。」と暗い気持ちになります。
「自分はダメだ」と思い込んだら、「今度やる仕事もうまくいかないのではないだろうか。」と悪く考えてしまいます。
そして、新しい仕事をやり始めてなかなか思うように行かないと、「ああ、やっぱり自分はダメだな。」という意識が再び出てきてしまいます。
そうすると、アイデアも浮かんでこず「どうやったらいいのだろう?」と迷いが出てきて、だんだんと思考が停滞して、行動力もなくなってしまいます。
その結果、思うような仕事の結果が出ないということになります。
このように、否定的な考えが続くと不安やストレスにより憂うつ感が強くなり、苦しい状態から抜け出せなくなってしまいます。
ネガティブな状況がどうして起こるのかというと、思考がネガティブであるから行動もネガティブになってしまうからです。
なので、望んだ結果を出すためには、ネガティブな思考をやめなければなりません。
行き詰った状況を脱する方法として、否定的な思考と自分を切り離すという心理的方法をご紹介します。
否定的な思考は、不安、怒り、恐れ、心配、嫌悪、悲しみなどのネガティブな感情が付いてきます。
自分と思考を切り離すと、ネガティブな感情が出てこなくなります。
頭の中でつくられる「あなたの物語り」
価値観は、体験から出来上がります。
人間は出来事を見たり聞いたりすることにより、感情も発生します。
そして、その出来事に言葉により意味を与えます。
体験は、感情と言葉をともなって価値観となります。
幼い頃は、初めて体験するものばかりです。
さまざまな体験をしていき、その体験が蓄積して価値観ができます。
出来上がった価値観は大人になってからもずっと自分の中で生き続けます。
例えば、幼い頃犬に噛まれた経験があったら、犬は怖いものだという価値観が出来上がるでしょう。
大人になってからも、チワワのような小型犬でも怖いと思い、近づきません。
犬恐怖症の人は、犬を見ただけでドキドキし緊張したりと身体が反応し、恐怖心が発生します。
犬は怖いものだという思考が出来上がっており、危ないから近づかないという反応になります。
価値観は、確信の感情です。
確信は、言葉によって思考になります。
価値観には、その人に力を与えてくれる価値観と力を奪う価値観があります。
生きるうえでエネルギーを与えてくれる思考と気力をなえさせる思考があります。
人の思考はすべて真実とは限りません。
人の考えは真実の場合もあれば、そうでないものもあります。
地球は平面ではなく球体であるというのは真実です。
一方「自分はダメな人間だ」という思考は真実とは言えません。
その人の思い込みです。
その思い込みによって、人は頭の中で「自分の物語」を創っていきます。
「自分は無能だ」という思考であれば、その思考に沿って「ダメな自分の物語」をつくっていきます。
「自分はダメな人間だ」と考えることは、自分 =(イコール) ダメをずっと思い描くので、感情はネガティブ状態のままです。
気持ちがネガティブな状態であれば行動しようと思いませんし、行動しても悪い結果しか起こりません。
はたして、その思考はあなたにとって有益でしょうか。
自分がダメである理由を考えるよりも、自己批判の思考から脱出しどうやったら行動できるかを考えたほうがいいのは、自明ではないでしょうか。
ネガティブな思考は、不安感や罪悪感、ストレスになります。
自分を批判したり、侮辱したり、裁いたり、落ち込ませたり、しかるような思考はすべてモチベーションを上げてはくれません。
思考は単なる言葉のられつ
思考は単なる言葉のられつといえます。
ネガティブ感情に浸っているときは、あなたと否定的思考が融合しています。
その否定的思考とあなたを切り離し、嫌な気分から解放される方法をご紹介します。
人は思考を真実であると信じ込みます。
思考は言葉が並んでいるだけであり、否定的思考は基本的に「物語」です。
あなたと思考とは別のものだと認識し、その思考をあるがままに客観的に見る次のエクササイズをやってみてはどうでしょうか。
あなたと思考を切り離すエクササイズ
< やり方 >
否定的な思考を取り上げて、その言葉を言ってみます。
言った後に、どんな感覚になるかを感じます。
例えば「私はダメ人間だ」と思ったら、その言葉を口にして、その後どんな感覚、どんな感情を持ったかを内観します。
ざわつく、重たいなど感じるかもしれません。
その次に、「私はダメ人間だ」という否定的な言葉を頭の中で繰り返し、「『私はダメ人間だ』と思った」と言います。
このフレーズを5~6回繰り返し言います。
最後に、また否定的な言葉を頭で繰り返し唱え、その後「『私はダメ人間だ』と思ったことに気づいている」と言います。
このフレーズも何度か繰り返し言います。
そうすると、最初に「私はダメ人間だ」と言ったときの感覚と、最後の「『私はダメ人間だ』と思ったことに気づいている」を言った時の感覚の差に気づくかと思います。
思考と自分を切り離せた感覚になるのではないでしょうか。
そして、「私はダメ人間だ」という言葉と自分は同じではないかもしれない、また違うものであるとも思えるのではないでしょうか。
最後に
思考は複数の言葉が合わさって、私たちに何かを伝えるものです。
先ほども言いましたが、思考はすべて真実ではありません。
思考は、「自分なりの物語」です。
その思考が人生を豊かなものにしてくれるものであれば、モチベーションとして使えるでしょう。
しかし、そうでなかったら、否定的思考に捉われることは有益とはいえません。
思考と自分を切り離すということは、「思考は言葉のられつ」であることに気づき、その思考と戦うことをやめることを目的とします。
自覚していなくても、その思考と戦っていることでストレスを感じているのです。
ネガティブな状況から抜け出るには、抵抗している状態をやめることです。
否定的な思考は単なる言葉のられつであり、その言葉のられつとあなたは融合しているわけではないと考えることができます。
そうすると、ネガティブな思考から解放されるあなた自身を感じることができるでしょう。
お読み頂きありがとうございました。