今まで出会った人の中で許せない人がいるでしょうか?
いるとしたら、その人にひどいことをされた、裏切られたというようなそれまで良好な関係であったのに、何かのきっかけで関係性が180度変わってしまったからでしょうか。
その人は同じ職場とか、同じ地域に住んでいるとか、関係しなければならない人物であったら、見るたびに許せない気持ちが出てくるでしょう。
「そんな嫌な人を許したらどうですか?」と言わたら、すぐに拒否されるかもしれませんね。
「許せない人を許すのは自分のためなのですよ」と言われたらどうでしょう。
「そんなに簡単にできるなら、苦労しないわ。」という声が聞こえてきそうですが…。
許せないというのは相手に執着している状態です。
この執着はあなた自身を縛るものです。
執着心を持っているといつまでもそこに留まっていることになり、動くことができません。
捕われた心を解放すると自由になれます。
許せない心は執着心
様々な苦しくつらい思いをしてきたわけだから、簡単に「相手を許しなさい」と言われても「そう簡単にはできない」と言われるのかもしれません。
その許せない心を持ち続けている限り、常に何か重たいものを抱えている状態にとどまり続け、あなたは自由にはなれないのです。
許せないと執着する心があなたを縛り続け、自由にしないのです。
許せない心の強さは心理的な距離感に関係するようです。
相手が友人や職場の同僚、学校の教師等だったら離れてしまったら、時が立てば忘れてしまうことが多いかもしれません。
しかし、親とか兄弟、元配偶者、元恋人とかだったら簡単に忘れられないでしょう。
心理的な距離が近ければ近いほど、ともに生活した時間や密度が濃かったら、離れても時がたったとしても、なかなか気持ちの整理がつかないと思われます。
許して忘れたほうがいいと思っていても、それが出来ずに苦しみます。
許せないのは怒りがまだ続いているからであり、その怒りの裏には、わかってもらえなかった寂しさや悲しさがあります。
相手を思う気持ちが強かったら強いほど、相手に対して怒りが湧いてきます。
相手に対する恨みが増していき、別れてからも怒りが続きます。
考えれば考えるほど、憎しみが増幅されて、怒りの炎がどんどん大きくなります。
自分のやってきたことが全て否定されたような気持ちになります。
相手を思う私の心、言葉、行為すべて価値のないものだったと烙印を押されたように失望しました。
報われなかったという思いだけが残ります。
感情は自然と湧き上がるものでありますから、その感情が良いとか悪いとかの判断をすることは意味がありません。
湧き出る感情は感じ切るのがいいといわれます。
それらの感情に蓋をしてはよくありません。
無理に感情を押さえつけると、身体の中に蓄積していき、ある時思わない形で爆発することがあります。
感情を出しきり、感じることは必要なことです。
ただ、その怒りの感情に支配し続けられていると、重たく憂うつな気分のままです。
ずっと相手を恨み続けている状態です。
相手を「許せない心」は相手に対する執着心です。
執着心には、「私は被害者で、ひどいことをされたから償って欲しい」という思いがあります。
私はひどいことをされたと思い込み、報われなかったという受身の姿勢でいます。
相手の償う言葉、行為を待っている状態です。
ずっと、相手に謝罪(他の何か)を求め続けることになります。
相手がそれを拒否したり、何もしてくれなかったら、ずっとそのまま満たされない心だけが残るでしょう。
許すというのは、相手のしたことを肯定するという意味ではありません。
「私は被害者」という思いを手放すことです。
自分の心を大切にするならば、恨む心を手放すべきなのです。
許して自由になる
自分の人生の主導権は自分が握っているということを思い出してもらいたいのです。
自分の人生の主役は自分であるということです。
あなたの人生はあなたが考えて、感じて、選択して行動していくという「主体的なあなた」が主人公です。
人間は様々な人たちとかかわり、心を通わせ、生活していきます。
あなたの歴史は、あなたが選択したものの積み重ねです。
起こった出来事は、誰のせいでもないと思えることが「人生の主人公である」ということではないでしょうか。
あなたは、いつでも選び直すことができるし、主体的に生きることができます。
しかし、被害者意識を持っていると、あなたは誰かに支配されている存在になります。
相手に翻弄される弱い人間になります。
許せない心を手放す方法
許せない心を手放す方法のひとつとして、紙に相手との思い出を書き出すという方法があります。
相手の許せないことや今の気持ちを素直に紙に書きます。
「くやしい」「バカ」とか‥。ネガティブなことを書きなぐってもいいです。
湧き上がるネガティブ感情も、感じるままでいいので。(出しつくせなかったら、何度か繰り返す。)
次に、相手とのかかわりや体験から、ポジティブな出来事を書きます。
いいことや嬉しいことを思い出します。
それがまったくなかったということはないでしょう。
それを思い出します。
次に相手に「ありがとう」というのです。
実際会って言うわけではのではないですが、「ありがとう」と唱えます。
相手を思い浮かべて。
気持ちがこもってなくていいので、言葉だけで「ありがとう」と言います。
毎日何度か感謝の言葉を繰り返します。
実際私は、そうするうちに始めは怒っていた相手の表情が緩み少し微笑んだ顔になりました。(イメージの中で)
不思議でした。
最後に
相手への執着心を手放すと心が解放されます。
執着はひとつのことに縛られている状態です。
それゆえ身動きが取れません。
自分を縛っていたのは、自分だったと気づきます。
許せない心を手放すか手放さないかは決めることができます。
被害者意識を持ったままだと自由になれません。
あなたの人生の主人公はあなたなのだと自覚したら、いつでも軌道修正でき、主体的に生きられます。
お読み頂きありがとうございました。