嫌いな人がいたら、四六時中その人のことを考えてしまいます。
また、人を嫌ってはいけないという考えも出てきて、嫌う自分と嫌ってはいけないと言う自分が心の中で葛藤することになったりします。
本当は考えたくはないのですが、自然と頭に浮かんできて憂うつな気分になります。
嫌な気分から抜け出せなくなります。
その嫌いな人が頭から離れず、嫌いだという気持ちだけが強くなっていきます。
意識が嫌いな相手に集中してしまい、頭の中をその人に占領されてしまっています。
嫌いな人が自分の心からいなくなるには、どうしたらいいのでしょうか。
相手が気にならなくなるには、嫌いなその人は自分と同じように好き嫌いがあるし価値観や信念を持っている、そして、その価値観が違うのだということを認めなくてはなりません。
さらに、心の中からいなくなってもらうには、相手の幸せを祈ることです。
相手に感謝の言葉を贈ることです。
「ええ~、そんなことできない!」と、今は思われるかもしれません。
意識を向けたものが大きくなる
人間は、ずっと考えていることが実現するといわれます。
不幸な状態、劣悪な環境にいるとしたら、それは自分が引き寄せているからだといいます。
「とんでもない、私は不幸なんか願っていない!」と反論したくなります。
でも、自分の現実は自分の無意識がつくっているのです。
ネガティブな状況になりたくないとずっと心配していたら、ネガティブなことを考え続けている状態です。
嫌いな人や苦手な人がいてその人のことを考え続けていると、イヤな気分をずっと自分に味わわせています。
意識が嫌いな相手に向いているために、ネガティブな現実が繰り返し創造されているとしたらどうでしょう。
イヤだイヤだと思うと、その嫌なことがまた繰り返されていくわけです。
また、自分では望んでいないはずなのに、そのイヤな人と関わることが増えるように感じます。
はじめ言ったように嫌いな人がいると、その人のことで頭の中がいっぱいになります。
人は意識を向けたもののエネルギーが大きくなるといいます。
意識を相手に集中しているため、その嫌いな相手にエネルギーを送っていることになり、どんどん嫌な思いが大きくなります。
自分のエネルギーをイヤな相手にささげているようなものです。
相手にエネルギーを奪われ、その人から支配されているという最悪な状況になっているわけです。
相手を認めたくないという思いが自分の心の中でますます大きくなるため、望まない現実を作り出しているのです。
相手を認めたくないと、必死に抵抗している状態です。
相手の嫌なところは自分のこだわり
人は怒りを持つものに、自分の恐れやこだわりが隠されているといいます。
相手を嫌うのは、自分のこだわりを相手の中に見るからです。
自分の価値観や信念を通して相手をジャッジし、「評価できないから嫌だ」と判断を下しているのです。
私たちは自分が評価しないものを相手に見たとき、相手を否定したくなります。
しかし、相手はただそこにいるだけなのです。
この世界には、良いも悪いもないのです。
ただ存在しているだけで、良い悪いを判断しているのは自分なのですから。
あなたが相手をジャッジして、嫌っているだけなのです。
嫌な人に感じるネガティブなこだわりや怒りの感情は、私たちに考えるきっかけを与えてくれるものともいえます。
イヤだと思う気持ちはどこから来るのか、自分の気持ちを客観的に見ることで、自分の弱点や恐れていることが明らかになります。
恐れやこだわりに気づくと、その恐れやこだわりが小さくなるか、消えてなくなることがあります。
人間はそれぞれ価値観を持っています。
価値観とは、自分が正しいか間違っているかという判断を下す基準のことです。
私たちはみな自分の価値観で他人を計っています。
自分の価値観で相手を判断しているので、自分が「この人は間違っている!」と思ったら、その人は自分にとってイヤな人になります。
人間はみな自分の考えが正しいと思っています。
ですから、自分の考えは正しいと固執すればするほど、相手がますますイヤになります。
嫌う感情はハッピーではなく重苦しいものですから、そのネガティブ感情に支配され続けるのは苦しいものです。
相手に対するネガティブ感情を解消してすっきりしたいと願います。
もし、自分の価値観や思い込みを客観的に見ることができたら、どうでしょうか。
自分の考えや価値観は絶対だとは言えないかもと疑問を持ったら、相手のことも客観的に見ることができるのではないでしょうか。
自分は「これが正しい、正解だ」と思っているものを、「絶対的なものなのか?」と考えてみるのです。
「相手が正しい」と認めなさいと言っているのではなく、自分のカチカチになった考えを少しゆるめてみたらどうでしょうか?…ということです。
自分が下した正しいとか間違っているという判断を見直すことができますし、自分の価値観自体にしばられなくなるかもしれません。
「私はこう思うけど、そうは思わない人もいるんだ。」「私は同意はできないけど、そういう考えもあるのね。」とゆるく考えてはどうでしょうか。
「裁いてはならない。裁かれないために。」(マタイ福音書7-1)にあるように、相手も人間だから完璧ではないし、同じ人間である自分も完璧ではないことに思い至るかもしれません。
相手にも価値観や信念があるわけですから、全部自分と同じ考えや価値観を持っていることはなく、「私は私。あなたはあなた。」と捉えることができたらいいのではないでしょうか。
嫌いな人への対策
相手も自分も客観的に見る
ネガティブな状況から抜け出るには、潜在意識の中にある嫌う原因を客観的に見て変えていくことです。
ジョセフ・マーフィが「眠りながら成功する」の中で、人を裁かないことが大事であるといっています。
眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用 (第16章)
他人に対する自分の考え方、感じ方、振舞い方が、結局自分に返ってくるからです。
相手に抱くネガティブな感情は、否定的な出来事を生み、それが自分に返ってくることになります。
自分に影響を与えるものは、その人の言動ではなく、その言動に対する自分の反応だからです。
自分の考えは自分の考えで良いとしても、それを他人に押し付けることはどうなんだろうか?、自分の価値観で相手を決めつけることは、いいことなんだろうか?…と考えてみます。
相手はその人なりの考えを持って生きてきたんだろう、その人も一生懸命生きてきた過去があるのだろうと思えたら、嫌う気持ちが薄らぐのではないでしょうか。
少し難しく感じるかもしれませんが、嫌いな人や苦手な人に意識を向けている自分を客観的に見る練習をしてみてはどうでしょうか。
人はせっかちな人もいればのんびりな人もいるし、繊細な人もいれば細かいことを気にしない人もいます。
みんなその人の個性だと受け入れることができたら、ネガティブ感情から切り離されるのではないでしょうか。
そして、嫌いな相手も自分と同じように、その人なりの価値観を持つ権利があるということを受け入れてみてはどうでしょう。
受け入れたくないという感情からくる相手に対する抵抗をゆるめてみるのです。
物理的に距離を取る
嫌いな人を好きにならなければと思う必要はないのです。
嫌いな人は嫌いでいいし、苦手な人は苦手でいいのです。
ようは、相手にこだわらないということです。
相手にこだわらないようにするには、できるなら嫌いな人や苦手な人とは物理的に距離を取るのが賢明でしょう。
職場であれば、必要なこと以外は会話しないとか…。
職務上だけの付き合いであると冷静に考えると、クールに対応しようと心がけられます。
相手に感謝の言葉を贈る
嫌いな人や苦手な人の存在を受け止めることです。
相手を受け止めることは、必ずしも相手を好きになったり、仲良くしなければならないということではありません。
存在を認めるということです。
なぜ、受け止めるのでしょうか?
相手への自分の抵抗を無くすためです。
自分の心から、相手を憎む心を排除するためです。
そうすると、相手を嫌って受け入れたくないという抵抗に使っていたエネルギーを、自分のために使うことができるようになります。
嫌って他人を憎むことは、自分を憎むことと同じなのです。
潜在意識の特徴として、潜在意識は主語を認識しません。
意識の上では、私、あなた、彼、彼女という主語がありますが、潜在意識には主語がないのでみな同じなのです。
「相手を嫌う」ということは「自分を嫌う」ということにもなります。
他人が自分と違う意見だとしてもそれはそれでありだと、受け止めようと姿勢を変えてみてはどうでしょう。
そして、嫌な相手の幸せを祈ることです。
「そんなことできない!」と思われるかもしれません。
でも、あえてやってみると、違う展開が生まれるでしょう。
この世界は「投げかけたものが返ってくる」といいます。
外に投げかけた思いが、自分に返ってくるのです。
相手を否定する波動を出し続けたら、ネガティブなものが自分に返ってきます。
嫌な人の役職、仕事、やったことに感謝できることを見つけたり、おかげさまと思えることを探してみます。
きっかけがあれば、直接口に出して言ってみてもいいでしょうし、口に出せなかったら心の中で感謝の言葉を贈り、相手の幸せを祈ります。
相手の幸せを祈るのは、相手のためというよりも、自分のためにするのです。
潜在意識は、自分の思いを外の世界に現します。
常にポジティブな心でいることが大切です。
相手の幸せを祈ることや感謝することは、自分自身のために祈っていることと同じだと考えてみてはどうでしょうか。
お読み頂きありがとうございました。