「どうしても許せない…」そう感じて、苦しんでいませんか?
近しい人に裏切られたり、理不尽な扱いを受けたりした時、許せない気持ちが強く残ってしまうことがあります。
この感情を無理に押さえ込もうとすると、余計に傷ついた気持ちが膨らんでしまうことも。
この記事では、「許せない」感情にどう向き合えばよいのか、そして傷ついた心を癒すためにできる具体的な方法を詳しく解説します。
無理に許そうとせず、自分の気持ちを大切にしながら前に進むヒントをお届けします。
許せない感情が生まれる理由

なぜ「許せない」と感じるのか?
「許せない」と感じるのは、自分の価値観や期待が裏切られたときに起こる自然な反応です。
例えば、信頼していた人に裏切られたり、理不尽な扱いを受けたりすると、「こんなことがあっていいはずがない」という怒りや悲しみが湧き上がります。
これは、自分を守ろうとする心の防衛反応の一環です。
「許せない」気持ちが強くなる心理的要因
許せない感情が強くなる背景には、過去のトラウマや未解決の感情が影響していることがあります。
例えば、過去に同じような経験をして心に傷が残っている場合、新たな出来事がその記憶を刺激し、感情が増幅することがあります。
また、完璧主義や自己肯定感の低さも、許せない気持ちを強くする要因です。
許せない感情が心に与える影響
「許せない」感情が強く残ると、怒りや悲しみが消えずに心に負担をかけます。
その結果、ストレスが蓄積し、不眠や食欲不振といった身体的な不満を引き起こすこともあります。
また、怒りや憎しみを抱え続けることで、人間関係が悪化し、孤立感や無力感を感じやすくなります。
許せない感情を抱え続けるとどうなる?

怒りやストレスが心と身体に与える悪影響
許せない気持ちは強いストレス反応を引き起こします。
怒りや緊張が続くと、自律神経が乱れ、不眠や胃腸の不調、免疫力の低下など、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。
人間関係に与える影響
「許せない」という感情を抱え続けると、他者への信頼が損なわれます。
新しい人間関係を築くことが難しくなり、孤立を感じることも少なくありません。
許せない感情が自己肯定感を下げる理由
許せない感情を抱え続けると、「自分は愛される価値がない」「自分は幸せになれない」といった自己否定につながることがあります。
このような状態が続くと、自己肯定感が低下し、前向きな行動が取れなくなってしまいます。
「許せない」感情を和らげるための具体的な方法

自分の感情を受け止める
「許せない」と感じる自分を責める必要はありません。
感情を無理に抑え込まず、「自分は今、怒っている」「悲しい」と素直に認めることが、気持ちを落ち着ける第一歩になります。
相手の立場を理解しようとする
許せないと感じる相手にも、事情や理由があるかもしれません。
相手の立場を理解しようとすることで、怒りや憎しみが和らぎ、冷静になることができます。
ただし、無理に理解しようとする必要はありません。
手放すことで自分を楽にする
「許す」という行為は、相手のためではなく、自分自身を解放するためのものです。
「許せない」と感じる気持ちを抑え続けることは、自分自身を苦しめることにつながります。
完全に許す必要はなく、「もうこの出来事に縛られなくていい」と手放すことで、自分を楽にできます。
許せない気持ちと向き合うために知っておきたい心理学的アプローチ

認知行動療法で感情を整理する
認知行動療法(CBT)は、「考え方」や「受け取り方」を修正することで、ネガティブな感情を軽減する方法です。
許せない感情が生まれる背景には、「自分は被害者だ」「こんな扱いを受けるのはおかしい」といった思考が根付いていることがあります。
この思考をそのままにしておくと、怒りや悲しみが増幅してしまいます。
具体的な方法
1.感情を書き出す
まず、「許せない」と感じた出来事や、それに対する感情を紙に書き出します。
○ 何が起きたのか
○ どう感じたのか(怒り、悲しみ、裏切りなど)
○ どう考えたのか(「こんな扱いを受けるなんて許せない」など)
2.自動思考を特定する
「この考え方は本当に正しいのか?」と自分に問いかけます。
例えば、「あの人は私を傷つけるつもりだった」と思った場合、本当にその人に悪意があったのかを客観的に考えてみます。
3.現実的でバランスの取れた考えに修正する
例「あの人は悪意を持っていたわけではなく、自分に余裕がなかったのかもしれない」
⇒ 「私は確かに傷ついたけれど、相手にも事情があったかもしれない」と考えを修正します。
4.新しい考え方を繰り返し練習する
新しい考え方を頭の中で繰り返し練習し、自然に受け入れられるようにします。
ポイント
● 感情を無理に消そうとせず、「感じている自分」を受け入れる
● 完璧に許そうとせず、「少し楽になる」ことを目指す

マインドフルネスで心を落ち着ける
マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に意識を集中させ、感情を受け止めることで心を落ち着ける方法です。
「許せない」という感情に捉われると、怒りや悲しみが繰り返し思い出され、心が不安定になります。
マインドフルネスを取り入れることで、その感情に振り回されにくくなります。
具体的な方法
1.深呼吸を意識する
○ 静かな場所に座り、目を閉じます。
○ ゆっくり息を吸って(4秒)、ゆっくり吐きます(6秒)。
○ 呼吸に集中し、頭に浮かぶ考えや感情を「ただの思考」として受け流します。
2.身体の感覚に集中する
○ 手や足の感覚に意識を向け、「温かい」「冷たい」「重い」など、今感じていることをそのまま受け止めます。
○ 許せない感情が湧き上がってきたら、「今、自分は怒っているんだな」と認識し、呼吸に意識を戻します。
3.感情をラべリングする
許せない感情が出てきたときに、「これは怒りだな」「これは悲しみだな」と、湧き上がった感情にラベルを付けます。
例:「あの出来事を思い出して怒っている」と冷静に言葉にする
4.「今、ここ」に戻る
感情を受け止めた後は、再び呼吸や身体の感覚に集中します。
過去の出来事や未来への不安に振り回されず、「今」に意識を戻すことで、感情が落ち着きます。
ポイント
● 感情に「良い・悪い」の判断をしない
● 感情を無理に変えようとせず、ただ、「今、こう感じている」と認識する

自分を許すことで気持ちを楽にする
「許せない」と感じている相手だけでなく、自分自身を許すことも重要です。
「許せない」と感じてしまう自分を責めていると、心の負担が増してしまいます。
「こんなことで怒っている自分が未熟だ」「自分が悪かったのかもしれない」と考えてしまうと、自己否定につながります。
具体的な方法
1.「許せない」と感じる自分を責めない
○ 「怒ってしまうのは当然」「私は悪くない」と自分に言い聞かせる
○ 感情を持つこと自体は悪いことではないと認識する
2.「完璧に許す」必要はないと考える
「完全に許さなければならない」と思うとプレシャーになります。
⇒ 「今すぐ許せなくてもいい」「少しずつ和らげていけばいい」と考える
3.自分をねぎらう言葉をかける
○ 「つらかったね」「よく頑張ってきたね」と自分にやさしい声をかける
○ 心の中で自分を抱きしめるイメージを持つ
4.小さな成功体験を積む
許せない気持ちに振り回されず、冷静に対応できたときに「できた」と自分を認めることです。
例:「今日はあのことを思い出したけど、冷静でいられた」「あの人と会ったけど、怒りをぶつけずに話せた」
ポイント
● 「許す」ことがゴールではなく、「楽になること」がゴール
● 自分を受け入れることで、他人への許しや共感も生まれる
「許せない」という感情は、すぐに消えるものではありません。
でも、感情を受け止めて、少しずつ和らげていく方法を知ることで、心の負担を減らすことができます。
「完全に許す」のではなく、「自分が楽になること」を大切にしながら、進んでみてはいかがでしょうか。
過去記事:許せないのは相手に執着しているから~あなた自身のために許せない心を手放す
お読み頂きありがとうございました。