思い込みに気づく
人間のものごとの捉え方には特徴があります。
たとえば、体験を一般化する傾向があります。
一般化とは、「私はみんなに嫌われている」と言う人がいます。「みんな」、こういう言い方です。
「みんな」とは誰のことを言っているのでしょうか?あいまいな表現です。
ある人に嫌われたという体験があったら、その嫌われるという体験がずっと続き、周りの人全部に及ぶと考えることです。
また、仕事で上司からこっぴどく叱られたとしたら、「自分は仕事ができない」と思い込むというような場合もそうです。
そのひとつの体験を全体に当てはめて「自分は仕事ができない」と思い込むのです。
それ以降、仕事のできない自分という信念(思い込み)を持つことになります。
異性との関係でも、付き合っていた彼に何度も裏切られた辛い経験をしたら、「男はみんな身勝手だ」「男はみんなルールを守らない」と言う女性がいます。
「男はみんな」というのは具体的にどういう男性の集団をいうのでしょうか?
世界中の男性でしょうか?自分の周りの男性全員でしょうか?
よく考えれば、論理的でないと分かります。
自分の体験した一部の出来事を全体にあてはめようとする考え方をします。事実をそのまま捉えていることにはなりません。

なぜ、ものごとの捉え方に「一般化」が起こるのでしょうか。
体験の中でも強烈な印象を持ったり、ネガティブな感情に捉われて深く傷ついたような場合にできるように思えます。
恋愛関係が男性からの裏切りで終わった場合、「男はみんな身勝手だ」と結論付ける女性だったら。
「男はみんな身勝手だ」という思い込みは辛い苦しい体験からできた思い込みと言えます。
ネガティブな体験をしたから、これからはこういう辛く苦しい体験をしてはいけないという思いから、思い込みが作られたと考えます。
男性と付き合うと危険な目に会うかも知れないという警戒心がこのような思い込みをつくったのです。
ネガティブな経験をしたくないという人間の本能から来ているといえます。
脳は「快を求めて、痛みを避ける」といわれるように、自分を守るためにプログラムが出来上がるわけです。
特定の男性から酷い目に会ったという体験をずっと持ち続けて苦しまないように、脳がネガティブな体験を弱めてくれるという効果があります。
「特定の男性」との関わりからもたらされた苦しい思いを忘れるようにするということです。
このようにダメージを強く受けないようにする作用から、一般化をする場合があります。
「一般化」という捉え方をすることで、自分がこれ以上ダメージを受けないように守ってくれているといえます。
あえてあいまいにすることで、強烈な記憶を弱める働きがあります。
思い込みは自分が自分の身を守るために作り出されたものといえるでしょう。
思い込みを手放す

思い込みはネガティブな感情を伴って無意識に蓄積していきます。
先ほどいったような「男性はみんな」=「身勝手」と言う思い込みがこれからの彼女を縛っていきます。
過去の経験が将来に影響していくことになるでしょう。
男性は身勝手な人もいれば、そうでない人もいます。
「みんな」とあえて断定するのは、これから会うであろう男性との付き合い方に影響を与えるでしょう。
それは将来の可能性を狭める思い込みではないでしょうか。
自分の思い込みは自分を守るために生まれてきたものといいました。
しかし、将来の行動を縛るものであったら、その思い込みに向き合うことが必要になります。
新しい異性との出会いにより心が動かされることがあります。
自分の幸せと過去の苦しみを同時に考えてしまいます。
過去の苦しい体験を思い出し、新しい関係を築くことを躊躇してしまいます。
思い込みを持ち続けたほうがいいのか、手放したほうがいいのか?
幸せになるのはどちらなのか再考するときがきます。
これまでの思い込みのままでは、思い通りに行かなくなることがあれば、それはその思い込みを手放す時期が来たということです。
新しい問題を解決するには勇気を持って古いものを手放し、新しい思いを入れなければなりません。
お読み頂きありがとうございました。