能力発揮と人の状態
私たちは練習の時は上手くやれるのに、本番になると普段の実力を発揮できない場合があります。
普段の練習ではいい成績が出せるのに、発表の場ではプレッシャーで力を出せなかったという経験がおありではないでしょうか。
また、仕事において大事なプレゼンテーションで多くの人の前でうまく話せなかったという人もいるかもしれません。
1対1ならば自分の考えを伝えることができるのに、大事な大勢での前ではうまくできなかった経験があるのではないでしょうか。
上手くいかない経験を思い出すと、緊張した不安な状態だからうまくいかなかったと気づかれるでしょう。
能力を発揮できないというのは、能力はあるけどうまくやれない、能力を出せないということです。
緊張しているから、自分自身に落ち着かなければいけないと言い聞かせるのですが、なかなか言う通りに動いてくれないという状態だったでしょう。
練習ではうまくやれるのに、本番になると上手くやれないのはどうしてか、本番と練習とは何が違うのでしょうか。

NLPでは状態が能力を決定すると考えます。
パフォーマンスする時のその人の状態が違うといえます。
練習で上手くできるということは、その人は能力を持っているということです。
上手くできないということは能力がないのではなく、その能力を発揮できない状態になるからだと考えられます。
人の状態とは
人の状態というのを考えてみます。
例えば、テレビドラマで幽霊がでてきたら恐怖心が湧きます。
幽霊が出てくる画面は暗く、音楽は低い音でゆっくりと不気味な音が流れてきます。
その画面や音を聞くと得体の知れないものを想像させ鳥肌が立ったり、恐怖心が湧きます。
反対に、気の合う仲間との食事会をイメージしてみます。
美味しい食事を仲間と囲むのは楽しいものです。
和やかな話し声と笑い声を聞いたり、おいしい食事を頂くと幸せな気持ちになりくつろいだ状態(身体感覚)になります。
このように状態は、視覚情報、聴覚情報、身体感覚情報をもたらす五感(視覚、聴覚、身体感覚、嗅覚、味覚)がつくるといえます。
先ほども言いましたが、緊張して不安な気持ちでいる時は能力を発揮できない状態です。
うまく自分の能力を発揮できない場合は、自分のエネルギーを能力を発揮することにではなく、別なことに使っている状態にあります。
うまくいかない時は「しっかりしろ!」「落ち着こう、落ち着こう。」と心の中で言いますが、ますます緊張してしまいます。
自分の能力を発揮する以前に、自分の緊張や恐怖心を抑えることにエネルギーを使ってしまうのです。
別なことにエネルギーを使っているというのは、緊張や恐怖心を抑えることにエネルギーを注いでいるのです。
なので、100%能力が発揮できないわけです。

能力を発揮できる状態と言葉
過去のパフォーマンスを振り返ると、失敗ばかりではないはずです。
能力を発揮できた過去の成功体験を思い出してみてください。
うまくいった、うれしい結果が出たその時の自分の状態を感じてみます。
自信がある、希望がある、やる気がある、そういう身体や心の状態を思い出してみます。
そのポジティブ体験の五感情報を思い出すことで、自分の「良い状態」を知ることができます。
五感情報というのは、視覚、聴覚、身体感覚(味覚や嗅覚も含みます)のそれぞれで見たもの、聞いたもの、感じたもののすべてです。
そのうまくいった、成功した時には、何が見えていましたか?
何が聞こえていましたか?
どんな身体感覚を感じていましたか?
まず、自分が能力を発揮できた状態をイメージして脳に定着させることをします。
いわゆるリソースフルな状態を思い出します。
リソースフルとは、自分の持っている資源や能力を最大限に発揮している状態をいいます。
リソースフルな状態でいるときには、「自分には能力ある。」「自分にはできる。」という思考や感情を持っています。
もう一つの言い方をすると、やる気がある状態です。
「やる気がある」ということは思考ではなく、気分のよい感覚や好ましい身体感覚を感じている時なのです。
自分のよい状態を知って、能力を発揮できる状態を管理できるとNLPでは考えます。
やる気がないと、頭で考えてそうすることが正しいとわかっていても、それをするのが嫌だと感じているのでなかなか行動に移せません。
しかし、強いやる気を持っていると容易に実行できます。
やる気を引き出すには、過去のうまくいった体験を思い出すこと、その時見えていたもの、聞こえていたもの、身体感覚を思い出し、感じることです。
そしてもう一つ、言葉があります。
ポジティブな言葉は人を前向きな気持ちにしてくれます。
言葉には情感があります。
「うれしい」「楽しい」「調子いい」「すばらしい」「最高」「君には能力がある」「ありがとう」…。
言葉は気持ちに影響を与えます。
言葉によって、私たちはその言葉に反応するイメージを見たり聞いたりします。
肯定的な言葉は、それを聞いた人をうれしいことや感謝できたこと、達成したことなどを思い出させ、ポジティブな気持ちや感覚につなげます。
ですから、ネガティブな言葉ではなく、ポジティブな言葉を意識的に使うことがいいのです。
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